「武田鉄矢 今朝の三枚おろし」は、歌手・タレント・俳優として活躍している
武田鉄矢さんがパーソナリティを務めるラジオトーク番組です。
アシスタントの水谷加奈さんは、文化放送のアナウンサー。
放送開始は1994年4月4日です。
このサイトでは、
毎回のテーマとなる内容に関するネタ本と鉄矢さんの音声をお届けしていきます。
今週のテーマ
「ケーキの切れない非行少年たち」がまな板に載ってます。
今週は「少年犯罪はどうして起きるのか」に迫るようです。
著者とネタ本の紹介
著者プロフィール
・神戸大学医学部を卒業。
・医学博士、臨床心理士。
・立命館大学産業社会学部教授。
児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務、2016年より現職。
困っている子どもたちの支援を行う「コグトレ研究会」を主宰。
担当編集者のひとこと
困っている子どもたちを救うには
まずは、オビのイラストをご覧ください。これは、精神科医である著者が医療少年院に勤めていた時、「ケーキを三等分する」という課題に対して在院中の少年が出した答えの例です。医療少年院に在院している少年ですから、だいたい10代の中盤から後半くらいの年齢の少年ですが、彼らには、ホールケーキを120度で切って三等分する、という発想が身についていないのです。
それだけでも問題ですが、さらに驚くべきは、これを描いた少年たちが、殺人や強姦致傷などの凶悪な犯罪を起こしている、という事実です。通常、犯罪を繰り返すような少年たちには、更生の過程において、「認知のゆがみ」をただすための認知行動療法が施されます。かつては著者も、それを試みていました。しかし、はかばかしい結果が得られませんでした。なぜかと言えば、こうした少年たちは、そもそもの認知機能に問題があったからです。
では「認知機能に問題がある子ども」とはどういう子か。それは、発達障害や知的障害をもつ子どもたちですが、実際に非行の現場で困っている子ども達の多くが、その当事者なのです。
現在、知的障害はおよそIQ70未満の人をさす、ということになっていて、人口の2%程度とされています。しかし、1950年代には、知的障害はIQ85未満とされていました。「それではあまりに多すぎる」ということで今の基準になったわけですが、もしIQ70~84の人を「軽度知的障害」と考えれば、この層はなんと人口の14%程度はいる、という計算になります。つまり、小学校の35人クラスで考えれば、5人くらいはその範疇の生徒がいる可能性がある、ということになります。
現在、この範疇の子ども達は「知的には問題ない」ということになってしまい、「ちょっと勉強が遅れている子」「ちょっと社会性に問題がある子」という程度で放置されてしまいがちです。しかし、この層の子ども達の多くが、問題に気づかれないまま放置されることで、社会のセイフティネットから落ちこぼれてしまっている、というのが著者の見立てです。これは、日本社会にとって、とてつもない損失になっているのではないか、と。
そこで著者は、矯正施設だけでなく学校施設でも使えるような、認知機能の向上プログラム「コグトレ」を開発しました。これによって、発達障害や「軽度知的障害」の子どもの認知機能を向上させ、問題の発生を軽減させるわけです(その実践の様子については、昨年の5月に出版された『発達障害と少年犯罪』(田淵俊彦&NNNドキュメント取材班著)に詳しく描写されています)。
本書では、医療少年院に勤務していた精神科医の目から見た「非行少年」の姿、そして彼らを取り巻く問題の構造、彼らの効果的な支援方法が、一気通貫で語られています。矯正関係者だけでなく、広く教育関係者にも資する本であるのは、立命館大学産業社会学部教授として著者の前任にあたる故・岡本茂樹先生の著『反省させると犯罪者になります』『いい子に育てると犯罪者になります』とも共通しています。
ご興味をもたれた方は、ぜひご一読ください。
・興味のある方は読んでみてください。
『ケーキの切れない非行少年たち 宮口幸治/著 新潮社 2019年07月13日』
関連書籍
著者:岡本茂樹
・反省させると犯罪者になります(新潮新書)
・いい子に育てると犯罪者になります(新潮新書)
・凶悪犯罪者こそ更生します(新潮新書)
※ご意見・ご感想
「武田鉄矢今朝の三枚おろし」をお聴きの方はご存知と思いますが、
番組内で皆様からのお便りを不定期で紹介しています。
ご意見やご感想がありましたらぜひお寄せください。
宛先:郵便番号105-8002 文化放送 武田鉄矢「今朝の三枚おろし」です。
※サイトマップで記事を検索すると効果的です。
音声聴取はこちらから
・1週目(2019.10.21~10.25)
・2週目(2019.10.28~11.01)
公式サイト | 武田鉄矢 公式サイト |
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